2020年 02月 23日
江之浦測候所 |
ひと月位前になりますが、杉本博司さんの活動の集大成の場、小田原市「江之浦測候所」に行ってきました。江之浦の豊かな自然を借景として、各建築が庭園と呼応するように注意深く計画されています。
冬至光遥拝隧道。杉本さんの最初の記憶は、幼少期に訪れたこの場所から見える海の水平線の景色とのことです。生を受けてからの自身の最初の記憶と、悠久の昔からほとんど変わらない海の水平線の風景を結びつける装置としてデザインされています。

水平線と一体化する光学ガラスの舞台。

室町時代に鎌倉のあじさい寺として有名な明月院の正門として建てられた明月門。以前、根津美術館で正門として使用されていたものが移築されています。門からのぞく大きな石は藤原京の域内にあった旧家の庭にあった石。古代から近代までのいわれのある物が数多く集められ、様々な時代背景を持つ物の歴史が積層されています。

石材は数十年にわたり収集された古墳時代の考古遺物や近世の古材がつかわれ、石を水平に置くことを基本原理としてデザインされています。
春秋分の日の出に軸線を設定した石舞台と巨石でつくられた石橋。

先日NHKで放送されていた杉本さんの活動を追ったドキュメンタリーで生と死の意識を境をなくす感覚を表現していきたいと語られていました。番組のエンディングは、Amazing graceをうたいながら冬至光遥拝隧道を歩く後ろ姿でした。そのとき杉本さんに去来した思いは、幼少期に海を眺める自身の心情か、あるいは悠久の海を望む古代人の意識か。


水平線と一体化する光学ガラスの舞台。

室町時代に鎌倉のあじさい寺として有名な明月院の正門として建てられた明月門。以前、根津美術館で正門として使用されていたものが移築されています。門からのぞく大きな石は藤原京の域内にあった旧家の庭にあった石。古代から近代までのいわれのある物が数多く集められ、様々な時代背景を持つ物の歴史が積層されています。

石材は数十年にわたり収集された古墳時代の考古遺物や近世の古材がつかわれ、石を水平に置くことを基本原理としてデザインされています。
春秋分の日の出に軸線を設定した石舞台と巨石でつくられた石橋。

先日NHKで放送されていた杉本さんの活動を追ったドキュメンタリーで生と死の意識を境をなくす感覚を表現していきたいと語られていました。番組のエンディングは、Amazing graceをうたいながら冬至光遥拝隧道を歩く後ろ姿でした。そのとき杉本さんに去来した思いは、幼少期に海を眺める自身の心情か、あるいは悠久の海を望む古代人の意識か。

by n-architect
| 2020-02-23 15:28
| アート