もう数カ月前になりますが、松濤美術館でおこなわれていた須田悦弘展に行ってきました。備亡録として少しだけ感想を記しておきたいと思います。白井晟一の設計による松濤美術館。須田さんが白井さんの建築と対話をして、作品を展示し、独自の世界を作り上げていました。
松濤美術館の特徴ひとつに、素材感の強い仕上げが使われていることがあげられます。ブラジリアン・ローズウッドの柱、ヴェネツィアン・ベルベットで仕上げられた壁。主張が強い素材の質感に寄り添う木蓮の作品。空間の素材感と相まって古美術のような趣。
赤みのかかった色の花崗岩と呼応する赤い花と、壁との隙間から生える雑草のような作品。ひっそりと、しかし力強く佇んでいます。
質感のある美術館の壁に、花が引っかかっているように展示されたバラの作品。時が止まったような、感覚が表現されています。
近年取り組まれている古美術品の欠損部分を木彫刻で補う作品。杉本博司さんからの発注とのこと。鎌倉時代の春日若宮神鹿像と菩薩掛仏を角、鞍、瑞雲、榊を補作しつつ、つなぎ合わせています。自身と他者、あるいは自身の作品と他者の作品との邂逅を、空間と時間を繕いつつ新たな作品に昇華する。鎌倉時代の作者、歴史との対話から生み出される今までにないアート作品と言えるのではないでしょうか。一度作成したものの、杉本さんからダメ出しがあり完全に作りなおされたそうです!
会期の終盤にうかがったので、たいへんな混雑でした。美術館に展示された作品の様子が納められた作品集が素晴らしいので、気になる方はぜひとも手にとられてはいかがでしょうか。
こちらは別の美術館で、先月うかがった、DIC川村美術館です。3月末で閉館してしまいました。こちらもすごい人出でした。かなりの量の良質な現代美術のコレクションを有していたため、閉鎖は惜しまれます。交通の便があまりよくないので、普段はあまり人出がなかったのかな。かくいう私も十数年ぶり、2回目の来訪。ロスコ・ルームは六本木の国際文化会館の周辺の再開発の地でSANNAの手によって生まれ変わるそうです。これは楽しみです。
